【コドモたちとつくる公園プロジェクト】

【前編】「あざみ野 チアアッププロジェクト」レポート

AZAMINO GARDENS

はじまりは、子どもたちからの一本の電話でした――。

「公園プロジェクト」の大きな活動 が一区切りしてから約1年。

あれから100本のスプーン AZAMINOでは、みんながつくった遊具で子どもたちが遊ぶ姿や、「みんなの畑」で育てた野菜やハーブをお店の料理に使ったりお客さんにプレゼントしたりする様子が、すっかり日常の風景となりました。

つぎは、子どもたちとどんな活動をしようか――。

私たちが考えあぐねている頃、「お店に見学に行かせてください!」と子どもからの一本の電話がありました。そして、同時期に一通のメールが届きました。

100本のスプーンの公園を、より魅力的な場所にして、自分たちのまちに元気を与えたい。」

そのメールは子どもたちの思いが綴られた内容で、その思いを優しくサポートする小学校の先生から送られてきたものでした。

これが私たちと、黒須田小学校5年2組のみんな、そして担任の迎田先生との出会いでした。

子どもたちは、新型コロナウイルス感染症の流行により、自分たちの街が活気を失っていると感じています。どうしたらいいか、フィールドワークをする中で100本のスプーンの公園に出会い(なんと、クラスの中に前回の「公園プロジェクト」に参加した子もいたのです!)ここを舞台に、街を元気にする「あざみ野チアアッププロジェクト」を企画したいといいます。

こんな提案に、私たち100本のスプーンのメンバーが嬉しくて飛び上がったことは言うまでもありません。だって、私たちの公園のコンセプトは「つくりつづける公園」です。これまで参加してくれた子どもたちからのバトンを受け取り、また別の子どもたちが私たちとともに公園をつくりたいと言ってくれている! その新たな灯火を消したくない一心で、活動内容もかかる時間も予算も、誰も想像がつかないないまま、私たちと5年2組の皆はともに走り出すことになりました。

公園プロジェクト発足当初に掲げたことを思い出しながら――。

2020年、7月のことでした。

発足当初(2018年)に掲げた《公園プロジェクトの3つの特徴》
■かんがえるチカラと、やってみるチカラ
自分の頭で考えるチカラと、それを実行するチカラ。この2つは、これからの複雑化する社会を子どもたちが生き抜くうえで、必要なチカラとなるはずです。本プロジェクトでは、子どもたちが考えた公園の夢やアイデアをもとに、実際の公園をつくります。

■コドモの自由な発想を、育む
この公園が子どもたちの楽園になったら、どんなに素敵だろう。子どもたちの「あれがやりたい」「これがあったらいいな」、そんな自由な発想を育む場にしていきます。

■ホンモノに出会える 多彩なワークショップと講師陣
公園づくりは、いくつものにぎやかなワークショップで構成されます。公園の設計、畑づくり、ベンチづくり…。各ワークショップの講師を務めるのは、建築家や農家、家具デザイナーなどその道のプロばかり。「ホンモノ」に触れられること、多様なシゴトを垣間見ることは、子どもたちの将来の夢が見つかるきっかけになるかもしれません。


Phase1. Phase2 :「かんがえる」篇

活動を振り返ると、ごく自然に前回公園プロジェクトで行っていた「かんがえるつくるあそぶ」という流れを汲んでいたことがわかります。

Phase1,Phase2が前回の「かんがえる篇」、Phase3が「つくる/あそぶ篇」とも言えます。正解なんてない、現実の「舞台」を目の前に、私たち(オトナ)もコドモたちも、考えてやってみて失敗してまた考えて…。頭も体も精一杯動かし悩みながら、たくさんの人を巻き込んで、プロジェクトは前進していくこととなります。

2020年 7月

まずは、改めてクラス全員でお店はフィールドワークに来てくれました。そこで気づいたことなどをまとめていきます。どこを変えたら公園(そして100本のスプーン全体)が魅力的になるか?アイディアの種を集めます。

そして夏休みを終えて8月にはさらなるブレストを経て…企画ごとにチームを編成!

2020年 9⽉16⽇

子どもたちが企画のプレゼンテーションをしてくれるということで、100本のスプーンメンバーが小学校にお呼ばれしました!記念すべき初対面です。ドキドキ…。

オトナたちにとっては久しぶりの小学校。

発表の様子。司会進行と、「開会の言葉」などもちゃんとあります。

各チームスライドも用意してオトナ顔負けのプレゼンテーション!この段階では10個の企画を提案してくれました。

私たちは子どもたちの実力に感動し、どれも楽しそうな企画にワクワクしながら、話し合い…。5つのプロジェクトを「採用」し、進めていくことにしました。

私たちからの最初の宿題は「すてきなチーム名を考えること」。そして出揃ったのがこちら!

チアアップクッキング…100本のスプーンの新メニューを企画・開発して、街の人びとにも食べてもらいたいチーム!

遊び研究所…「みんなの公園」がもっと愛される場所になるように、新しい遊具や遊び方を考えたいチーム!

ハッピーDIY…「みんなの公園」「みんなの畑」をより魅力的にするために制作するものを考えてつくりたいチーム!

グリーンクリエイター…「みんなの公園」や「みんなの畑」にお花を植えて、街の人が楽しめる場所をつくりたいチーム!

スプーンファーマーズ … 「みんなの畑」で野菜を育てて収穫して、街の人びとにも食べてもらいたいチーム!

ここから、子どもたち5チームと私たちの奮闘記が幕を開けます。

2020年 11月16日

前回5つのプロジェクトを採用してから、新たにチームの再編成が行われました。この日は、改めて5つのチームごとにブラッシュアップした企画の内容を子どもたちがプレゼンテーションしてくれました。

各チーム必要に応じて図なども用意して、なるべく具体的に提案をします!

壁には大きくチアアッププロジェクトの計画が。プレゼンを聴く私たちも真剣です。

プレゼンの後は、各チームに分かれてディスカッション。この日から、100本のスプーンのメンバーも各チームにメンターとしてジョインしていきます。料理を開発する「チアアップクッキング」にはシェフと店長が、遊具や遊び方を考える「遊び研究所」にはブランドマネージャーが、モノづくりを提案していく「ハッピーDIY」にはデザイナーが、みんなの畑に植物や野菜を植えていく「グリーンクリエイター」と「スプーンファーマーズ」にはサービススタッフが、それぞれ参加しました。(もっとも、メンターというよりもいちメンバーとして大奮闘することになったのですが…!)

この時点で「グリーンクリエイター」と「スプーンファーマーズ」に関しては、新しく何かを植える前に、荒れつつあった畑の草むしりや整備をする必要がありました。なかなか時間がかかりそうです。チアアッププロジェクトの活動時間だけでは終わりそうもなかったので、「放課後も、いつでもお店に来てね!」と伝えました。

すると、なんとその日の放課後から、子どもたちが自主的にお店に来てくれるようになりました。わいわいキャッキャはしゃぎつつも、しっかり草むしりをしていきます。私たちの悩みのタネだった荒れた畑は、日に日にキレイになっていきました。そう、1日だけではなく、子どもたちはコツコツと活動をつづけてくれたのです!

日々足を運んでくれるにつれ、草むしりをするだけでなく、公園で遊んだり、私たちとおしゃべりをしたり、100本のスプーンが少しずつ「放課後の時間を過ごす場所」となっていきました。

「ばいばーい!気をつけてねー!」

すっかり友だちみたいになった子どもたちに手を振り、後ろ姿を見送りながら、「街のレストラン」としての新しい希望を感じていつも嬉しい気持ちになりました。

《後半につづくーー》