【コドモたちとつくる公園プロジェクト】

「みんなの公園」第一弾お披露目パーティーを開催しました

AZAMINO GARDENS

ファミリーレストラン「100本のスプーン あざみ野ガーデンズ」は、コドモたちが建築家と一緒にレストランの隣に公園をつくるプロジェクトに取り組んできました。

題して、「コドモたちとみんなでつくる公園プロジェクト」。

7/20(土)、コドモたちと一緒に考えてきた公園の、最初の工事が完了するタイミングです。

プロの建築家と一緒に、はじめての「竣工検査」を行い、お披露目の祝杯とともに、生演奏による音楽会でお祝いします。

まずは、建築家・岡野道子 氏(*1)と、公園に新たに誕生した、4つの場所を確認していきます。

岡野:ひとつひとつ問題ないかチェックするのが「竣工検査」です。みんなの竣工検査が終わってから、正式な公園オープンになるから、大切なプロセスですよ。

さっそくひょうたん池のエリアに集まります。

岡野:蛇口をひねってお水がでるか、確認しましょう!だんだんお水がたまって、反対側の端っこからお水が流れていきます。

岡野:みんなで手ざわりを確認してみてください。水のある部分はザラザラしていますね。上で遊んでも、滑って転ばないようにザラザラした仕上げになっています。


「人が手でさわっていたところは、体温であったかくなるね」
「ここから水がチョロチョロ流れるようになってる!」

<株式会社アンス>長久保明さんにお話を伺ったところ、ザラザラした場所は”洗い出し”という方法でつくられているそう。

五感をフル活用した竣工検査ははじまったばかり。遊ぶのを少しがまんして、次は”楽しい食卓”エリアへ。

岡野:ここは食事もできる、テーブルとイスがあります。みんなで座ってみてください。高さはどうですか?テーブルは使いやすそうですか?

「いい感じに座れる!」
「斜めになっているから、イスの高さが違うね」

岡野:そうです、イスの高さは、傾斜にあわせて全部変えてあります。さらに、すべり台の続きがベンチになっています。


テーブルとイスを確認するコドモたちを見ていると、今にも賑やかな食卓の光景が浮かびます。

次は、公園を一望できる小屋のエリアへ。

「僕、登れる!」
岡野:おお、さっそく。頭はぶつからないですか?中は何人ぐらい入れるかな?

「ちっちゃいからいっぱい入れるよ〜」
「上側から行けば、座れちゃう!」

岡野:さっそくいろんな遊び方を探してくれていますね。ボルトがしっかりしまっているか、確認してくださいね。グラグラしないかな?

夢中でのぼったり、ぶらさがってみたり、小屋の頑丈さはすっかり証明されました。
次はすべり台エリア、と岡野さんが案内すると同時に、行列が。

岡野:他にはない形のすべり台です。説明の前に、みんな一回ずつすべって確認してみましょう。
「すっごく速い!」
「うわ〜〜〜!すべる〜〜〜!」

岡野:すべり確認ができたら、内側をさわってみてください。ツルツルに磨かれていますね。これは、アンスさん(株式会社アンス)の職人さんたちが3日間、一生懸命研いでくれたから、ツルツルになっているんです。毎日2~4人の職人さんたちが頑張ってくださいました。
そして安全バーもついています。ここで止まって、ちゃんと座ってもらえるように設計されています。

「もう一回滑って、確かめる!」
「すべり台の下はくぐれるよ」

縦横無尽に、コドモ視点でのダイナミックな竣工検査は続きます。
次は4箇所に設置された”もしもしパイプ”です。
岡野:もしもしパイプ、聞こえますか?小さい声で話しかけてみましょう。どこが繋がっているかは秘密です。内緒話ができますね。

「もしもーし、聞こえますか?」
「あ、聞こえた!聞こえてるよ〜」

もしもし〜、もしもし〜、と公園の離れたところから聞こえてきます。もしもしパイプが、新しいお友だちができるきっかけになるかもしれませんね。
岡野:最後はレストランの隣の畑を見てみましょう!ここからは、小泉農園の小泉清さんにバトンタッチして、ご案内します。

小泉:5月下旬、みんなで汗をかきながら16種類のハーブとミニトマトを植えました。たくさん雨が降ったので、すごく大きくなりましたね。100本のスプーンのレストランで、だいぶ収穫してもらったみたいです。

小泉:トマトは雨が降りすぎて病気になってしまった苗もありますが、畑は全てがうまくいくわけではありません。
同じ場所で撮影した、下の写真は5月25日のもの。すっかりハーブが育ち、生命力溢れる「みんなの畑」になりました。看板のすぐ下、レストランの顔となる場所です。

小泉:レモンバジルやシナモンバジルはとても良い香りがします。私は食べる以外にも玄関先の香りにも使っています。どうぞ、香りを確認してみてください。

「ほんとだ、いい香り〜」
「あ、僕が植えたバジルもある!」
小泉:ハーブはお花をつけてしまう前にどんどん摘んで、使ってください。この後のパーティーで出てくる料理にも使われているそうです。楽しみですねぇ。

竣工検査が一段落したあとは、これまで公園づくりに携わってくださった方たちや、これから公園をつかってくださる方たちに、公園のお披露目を兼ねて、パーティーが開催されました。

グラスカップにきらめくドリンクは、畑でとれたミントのハーブティーや、ノンアルコールのスパークリングワインなど、100本のスプーンならではのラインアップです。

さぁ、お祝いのパーティーは乾杯とともに始まります!

フルート、ギター、バイオリンのトリオが奏でる生演奏に耳を傾けながら、シェフの料理をいただきます。

プロの生演奏を目の当たりにして「私も大きくなったらフルートやりたい」というお子様も。

「小泉農園のジャガイモのカリカリ揚げ」は子どもたちにも大人気。思わず、この笑顔!


焼きリンゴと生ハムなど、大人もコドモも、グラス片手に美味しいごはんをいただきます。さっそく、テーブルを囲うコドモたちの姿が。


「ドリンクにレモンバジルを入れるといい感じ!」と子どもたちに教えてもらう岡野さん。
ドリンクスペースには、ハーブのトッピングが準備されていました。コドモたちのアイデアが、さっそく形になって、登場しました。

公園プロジェクトのこれまで

「100本のスプーン あざみ野ガーデンズ」では、2018年11月から子供たちと一緒に、店舗の隣に公園をつくるプロジェクトに取り組んできました。

プロジェクトは大きく「かんがえる篇」「つくる篇」「あそぶ篇」に分かれています。「かんがえる篇」では、小学生25名のコドモ建築家が、全3回のミニスクール形式で、プロの建築家と一緒に公園の設計図を考えました。

「かんがえる篇」では、公園に置きたい遊具を希望するだけでなく、畑をつくる、採れた素材をレストランで料理してもらう、公園の地図をつくる等、素晴らしいアイデアが生まれました。

コドモ建築家によるアイデアで生まれた公園の看板。入口にしっかりと設置されています。

プロジェクト構想から携わるミュージアムエデュケーターの会田大也 氏(*2)は、「みんなの公園づくりプロジェクト」に関するインタビューで、教育のプロの視点から、このように語ります。

会田:最近、究極の教育って何だろう?と考えているんです。子どもたちがワクワクできること、得意なことを見つけられるよう、子どもたちの個性を伸ばすことなのではないかと思っていて。公園プロジェクトに関わる過程で浮かんできたのが「遅い教育」というキーワードでした。

20世紀は大量生産で工場労働の時代。効率化を優先した教育で標準化した優等生を育てることが求められた。でも、これから先、人より早く学ぶことだけが価値ではないかもしれません。
ゆっくりでもいいから一つのプロジェクトを通して、自分の好きなこと、得意なことを見出していく才能も重要になってきています。教育から効率や速さを取り除くと見えてくる価値があるはずで、公園プロジェクトはまさにそんなプロジェクトだと思っています。

また、お披露目会を通してコドモたちのなかに当事者意識が芽生えてきたように感じる、と語るのは、プロジェクトを主催する株式会社スマイルズの宮川大 氏(*3)です。100本のスプーンあざみ野ガーデンズ店長を勤めながら、公園の構想をあたためていたそう。

プロジェクトメンバーとしてコドモたちと協働するに至った背景に、100本のスプーンが「コドモをコドモ扱いしないレストラン」であり、「はじめてにふれて、はじめてが楽しくなる」というコンセプトがありました。

宮川:子どもたちの未来を生きるために必要なチカラを育んだり、「その道のプロ」の力を借りながら、子どもたちに本物を知ってもらい、プロの仕事を近い距離感で体感してもらいたいと思っています。

(中略)
実は、当初大人だけで進めていた公園の設計があったのですが、大人の都合だけでつくってしまったら、子どもたちにとっては単なる楽しい公園になっていたかもしれません。

スマイルズでよく「思考と実行」と言うのですが、考える力とやってみる力はセットになるからこそ、できることが増えていきます。それは子どもたちでもきっと同じ。

だからこそ、考えるだけでなく、手間暇かけてつくって、遊んで、自分たちの居場所にしてもらえたら、という思いで「考える、つくる、あそぶ」3段階のワークショップを考えました。

建築、教育のプロと歩んできた「かんがえる篇」のバトンは、5月の終わり「つくる篇」に渡りました。

つくる篇を導くプロは、100本のスプーンの料理に使われる野菜やハーブを育てる、小泉農園の小泉 清さんです。

手を動かしてつくる大変さはもちろん、手間暇をかけても、天候によってはうまく育たないという現実も含め、ものづくりの奥深さを実感する場になったのではないでしょうか。

みんなの公園のコンセプトは「つくり続ける公園」。子どもたちの豊かな発想と、公園で遊びながら生まれたアイデアを取り入れながら成長し続けます。

アイデアはどうやって集めるのか?ご安心ください、アイデアやご意見を投函するポストも設置されました!

お披露目会の後は、弾けるように遊びはじめたコドモたち。さっそく「ここにランプがあると、夜も明るいし、ごはん食べる時よさそう!」「テーブルにもう1つイスを増やしたら、座れる人がふえていいな」など、新しく生まれたアイデアが響きあっていました。


あざみ野ガーデンズの顔となる、ワクワクすることが生まれる公園として日々成長していますので、ぜひ遊びにいらしてくださいね。


*1:岡野 道子 Michiko Okano
建築家/芝浦工業大学特任准教授 / 岡野道子建築設計事務所代表

2005~2015年伊東豊雄建築設計事務所勤務。「宮城学院女子大学付属認定こども園森のこども園」の他、劇場や美術館、オフィス、火葬場、みんなの家など担当。2016年に岡野道子建築設計事務所を設立。主な作品は「檸檬ホテル」や「熊本益城町みんなの家」、「宮城野の家」、「甲佐地区災害公営住宅」など。2017年より芝浦工業大学建築学部特任准教授。現在、「甲佐町子育て支援住宅」等が建設中。大学では三重の漁村での地域の交流拠点づくりのプロジェクトも進行中。

*2:会田 大也 Daiya Aida
ミュージアムエデュケーター

東京芸術大学大学院映像研究科映像メディア学専攻在学。 山口情報芸術センター[YCAM]にて2003年の開館より11年間、チーフエデュケーターとして教育普及を担当。メディアリテラシー教育、美術教育、地域プロジェクトの分野で、オリジナルのワークショップを開発。一連のオリジナルメディアワークショップにてキッズデザイン大賞受賞。担当した企画展示「コロガル公園シリーズ」は、文化庁メディア芸術祭、グッドデザイン賞などを受賞。その他、(株)三越伊勢丹やVIVITA株式会社、(株)Mistletoeなどといった企業とも協働し、教育プログラムの開発や運営に携わる。

*3:宮川 大 Dai Miyagawa
レストラン事業部 企画戦略室

1991年生まれ。大学在学中より、「東の食の会」などで食関係のインターンを経験。2014年4月、新卒で㈱スマイルズ入社。生活価値拡充研究所、クリエイティブ本部を経て、レストラン事業部に配属。2年間ほど100本のスプーンあざみ野ガーデンズにて勤務したのち、2018年より現職。